イタリアではよくartigiano(アルティジャーノ)という言葉を耳にします。
それは、職人の意。
手仕事の尊さや美しさを、自然と愛するイタリアの気風。
値段や話題性などでは簡単に比較できない、彼らにしか作れないものたちを、どうぞ。


フィレンツェの職人さんの工房見学
Vassoio Fiorentino フィレンツェのトレイの工房
1300年代、ここフィレンツェにてルネサンスが花開き始めた頃の手法を今も守り続ける人々
douzoオープン当時からずっとお世話になっている工房。父ルチアーノ・息子ステファノ、父の古い友人で、血は繋がってないけど叔父同然とステファノが慕うブルーノと移住してきた紅一点ジュリエッタからなる家族経営の温かい工房です。


どうやってトレイが作られていくのか、見てみましょう

まずは木の土台に下地を塗り、その上から特殊な接着剤を塗布

練りからしと間違いそうな色です

綿で押さえながら、箔を置いていきます

このトレイのデザインの核となる型を熟年の鑑で真ん中に置き

全身でプレス!

このように、デザインが浮かび上がってきました

特殊なヘラを用いて、箔を慣らす
このヘラ、高級な靴べらのようなデザインでまずそこに注目してしまいました

細かい部分は、それぞれの模様専用の工具で正確に

手がぶれたら大変!

代々使われてきた、いろんな模様の工具があります
これを見るだけでもわくわくする

ここからは色塗り係にバトンタッチ

手際良く、色を塗り分けていきます
キチキチしすぎない塗り方が、ここの工房らしくてだからこそ人の温かみを感じられる
そう思い、この工房を選びました

それぞれの場所で、それぞれの作業

仕上げに、特殊な塗料をざざーっとざざーっと

塗料を重ねることで、まるでアンティークかのような風合いに

フィレンツェ市から、伝統工芸を守る工房として認定されています
この金色に輝くトレイたちはフィレンツェの伝統工芸として、古くからこの地域を中心としてイタリア全土で親しまれています。
しかし、今ではこのトレードマークである金色部分を効率化という理由から塗料吹き付けにする工房も。そんななか、昔ながらの手作業を守ることは並大抵のことではないはず。
だからこそ、他社製の工業製品化されたツルッとパキッとしたプラスチックのようなブレがない物とは比べ物にならないほど、彼らが作るトレイたちは人の温かみを感じられ、末長く手元におきたいものだと自然に思わせてくれるのかなと思います。
箔置きという製品の特性上、長く使うことで表面は変色もしていきますが、それはあなたの手が触れたという軌跡。
トレイが生き物のように育っているということを、感じることができるのです。


工房に何度もお邪魔して、作業風景を撮影させてもらいました
暖かい歓迎に笑顔が止まらない

この日はビステッカ・フィオレンティーナをご馳走になっちゃいました
昼間っからステーキとワイン、最高!

いつ訪れてもホームだと思わせてくれるみんなの笑顔
財力がある大口の客ではない私だけど、できる限り私も彼らに喜ばれる仕事がしたいと思います